日本医科大学雑誌
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仙腸関節の神経支配について
肉眼的組織学的研究
池田 龍二
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1991 年 58 巻 5 号 p. 587-596

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抄録

学生解剖学実習用本邦成人死体18体 (平均年齢65.4歳) の骨盤を用いて肉眼的に仙腸関節に分布する神経につき観察を行った. また, 病理解剖用本邦成人死体6体 (平均年齢60.8歳) の仙腸関節を採取し, 組織学的に関節周囲に分布する神経を観察し, 以下の結果を得た.
1) 仙腸関節の前方の上部では, 第5腰神経前枝の支配が主であると思われた.
2) 仙腸関節の前方の下部では, 第2仙骨神経前枝, または仙骨神経叢の支配が主であると思われた.
3) 仙腸関節の後方の上部では, 第5腰神経後枝の外側枝が主に支配していると思われた.
4) 仙腸関節の後方の下部では, 仙骨神経後枝の外側枝によって形成される神経叢の支配が主であると思われた.
5) 関節面に入り込んでいる神経の枝の直径は部位により明らかな差はなく, 0.292mmから0.997mmまでであった.
6) 鍍銀染色標本によると, 関節周囲の靱帯内, 関節包には, 0.2μmから2.5μmまでの太さの神経線維, 5種類の形態を示す神経終末が存在した.

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